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アキタカタ暮らしの美術館 Ⅴ~伝統芸能、神楽の魅力を伝える『神楽王』~

丁寧に、豊かに暮らす人々の、その暮らしぶりがアートのように感じられる、広島県は安芸高田市。

第2回目は島根県隣接する川根での暮らし、第3回目は仙人の里と呼ばれる天空の棚田での暮らしをご紹介しました。



そして前回第4回目は生産者の想いを伝える伝道師のご紹介。

第5回目は安芸高田市の伝統芸能として継承され続けている神楽(かぐら)が大好きで
『神楽王』を目指す方のご紹介です。

1.ひろしま安芸高田神楽とは


そもそも神楽とは、神座(かむくら)に神を招き、神の力を招き鎮めることによって、生命力を高めようとする儀式です。
神と人とが一緒に楽しむことで、神の力を得ようとする神人和楽(しんじんわらく)の神事です。

その起源は、一説によると、記紀神話の中の「天岩戸伝説(あまのいわとでんせつ)」にまでさかのぼるともいわれています。
※記紀神話とは、古事記・日本書紀の両書に載せられた神話の総称。古事記は712年、日本書紀は740年に成立したので、つまり1300年くらい前、8世紀初め。

  「天岩戸伝説」とは、あるとき太陽の女神、天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟の素戔鳴命(すさのうのみこと)の乱暴さに怒り、岩戸の中に籠ってしまわれました。すると地上は暗闇になってしまいました。

  困った神々は話し合い、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で乱舞することになりました。これがあまりに滑稽だったので、外の神々は大騒ぎ。騒々しい外の様子が気になった天照大神は、岩戸をそっと開け様子を見ようとしました。

  その時、この機を逃すまいと手力男命(たぢからおのみこと)が岩戸をこじあけ、天照女神を外に連れ出し、地上に明るさが戻りました。

という有名な神話です。

この岩戸の前で、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞った舞こそが、神楽の起源と言われています。

一年のうちで一番太陽の力が弱まる時期に、その太陽の再来と生命の再生を願って神を招き迎え、生命力の強化を祈願した鎮魂の儀式が、神楽の始まりと言われています。
これが記紀神話であるとすると、およそ8世紀の初めには神楽ができたのかもしれません。
神楽は、はるか昔から人々に楽しまれてきました。

そして、ひろしま安芸高田神楽とは。

全国各地にさまざまな形の神楽が伝えられている中で、安芸高田市の神楽は出雲流神楽が
石見(いわみ)神楽を経て、江戸期にこの地域に伝えられたと考えられています。
※江戸時代は1603年~1869年なので17世紀~19世紀の間ということですね。


またその過程で、九州の八幡系の神楽や高千穂神楽・備中神楽、さらに中国山地一帯に古くから伝わる農民信仰などの影響を受けて、現在の形態になったといわれています。
その特徴は演劇性が強いという点で、極めて大衆的で、のびのびした伝統芸能に発展しました。
例えば、ドライアイスや蜘蛛を使ったド派手な演出や、素早い衣装・面替えでの早変わり、素早いアクションなど、ほかの神楽とは違ったエンターテイメント性が高いものになっています。

神楽を観るときも、お酒や飲みものを飲んだり食べたり、掛け声や拍手をしたり、なんなら寝転んで観てもおとがめなし!なのです。
要は楽しんで観ることが大事。
これほどゆるく観劇できる芸能はほかには無いでしょう。


お囃子や太鼓のリズム、直に体に響く心地よさ、ドライアイスやスピード感あふれるアクションが楽しい!


この大衆化が人々の神社・神に対する信仰心を繋ぎ止め、自然や神への畏敬・恩恵に対する先人の心を今に伝える大きな役割を果たしているとのこと。

安芸高田市の神楽には、劇化の進展のなかにも、今なお、神人和楽(しんじんわらく)という神楽の原形が息づいているのです。

2.『神楽王』


現在安芸高田市では、市内に22の神楽団があり、舞人たちはその技を磨いています。

神楽の聖地ともいえる「神楽門前湯治村」では毎週末、神楽が上演されています。
また、毎年神楽の技量を競い合うコンテストや大会があり、神楽を観る機会はとても多いです。

ほぼ年間を通じて神楽に打ち込む神楽団員たちは「神楽で食べているの?」とよく聞かれるそうです。

しかし、団員にとっての神楽はあくまでも「祭事」。職業にしている団員はいらっしゃいません。
日常は各々、仕事や勉学に励みながら、神楽の継承と保存に大きな役割を担っていらっしゃいます。
人気の神楽団の公演や、各大会では、「席取り待ち」ができるほどです。
安芸高田市の方の暮らしの中で神楽はかかせない文化となっています。


翌日の公演の席取り待ち用のイス。

こうした、ひろしま安芸高田神楽の魅力に憑りつかれた方が、地域おこし協力隊の田中快斗さんです。

田中さんは島根ご出身でもともと神楽は身近にありましたが、大人になって安芸高田神楽と出逢い、そのおもしろさに感動。
魅力にハマりこみ、神楽の写真を撮りに毎週のように神楽門前湯治村へ通い、ついに安芸高田市へ移住を決めました。

協力隊として安芸高田市の観光協会でお仕事をされながら、神楽の魅力をもっと多くの方に伝えたい、楽しみかたや歴史・背景など神楽のことなら田中さんに聞いたら間違いない!という
『神楽王』になることを目指し、神楽ガイドを始められました。

3.神楽とともに暮らす


前段でお伝えしたとおり、神楽は各々自由に楽しむことができます。また、その歴史は古く、上演される演目は神話や昔の伝承なども多く、
歴史や背景を知っていたほうが何倍も楽しめます。

また、神楽団の団員と観客をつなぐ橋渡しもやっていきたいとお話されました。
神楽の継承を担っている団員の方たちの想いや、神楽の裏側に触れることで、より神楽の魅力にハマりこんでほしい、そしてこれからの神楽を担う人材を見つけられたら嬉しい、と。

実際に田中さんのガイドを受けてから神楽を鑑賞する、という体験をさせていただきました。
神楽門前湯治村にある資料館を使って、神楽の歴史や背景、そして衣装についてや神楽団の裏側のお話、本日の演目の魅力ポイントだったりをお話いただきました。

ガイドを受けていなければ、「???」となる部分が必ずあると思いますが、
そうなることもなく、そして伝統芸能のイメージを覆されるほどのエンターテイメント性あふれる
安芸高田神楽を思いっきり楽しむことができました。

   
   

4.オンラインイベントで神楽中継

そんな田中さんへのインタビューと、実際の神楽上演を中継しているオンラインイベントを開催いたしましたので、
ぜひご覧ください。

 

そして、安芸高田市の暮らしの中に根付き、人々の日々の楽しみとなっている神楽。
ぜひ一度実際に見に行っていただきたいと思います。

その際にはぜひ、『神楽王』田中さんのガイドを体験されてみてください!

 

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